目次
2 学資保険のメリットとデメリットとは
郵便局が1990年に販売を開始して以来、たくさんの家庭に選ばれてきた学資保険。
どうして、それほどまでに支持されているのでしょうか。ここでは、学資保険が持つメリットと、しっかりと抑えておきたいデメリットについてご紹介します。
2-1 学資保険のメリット
2-1-1 貯蓄性が優れている
お子さんの学費に対する備えとして活躍する学資保険。しかし、学費を貯めるのであれば銀行などに預けるのと変わりないと思われるかもしれません。
しかし、ご存知の通り銀行は朝敵金利どころかマイナス金利に突入。せっかくお金を預けていても利息がほとんど付かないばかりか、そんをしてしまう場合もあるのです。
さらに、銀行に預けている場合は引き出して使ってしまうという可能性もゼロではありませんよね。
そういった面で、大きな学資保険のメリットは銀行への預貯金に比べ貯蓄性に優れていることと言えるでしょう。
返戻率は商品やプランによって差がありますが、払込む保険料の金額に対して10%ほど多い学資保険金が帰ってくる場合もあります。
また、満期や祝い金など、一定のタイミングでのみお金を受け取ることができるため、預貯金のように手軽に引き出すこともできません。
それに加えて、”お子さんの学資のため”という目的が明確化されていることで、普段貯金が苦手な方であっても学費を蓄えることができます。これも非常に大きな学資保険のメリットと言えるでしょう。
2-1-2 万が一の際に払込免除を受けられる
学資保険のメリットの一つに「払込免除」と呼ばれる機能があります。「払込免除」は、万が一契約者が死亡、または重度障害を患った際に、その後全ての保険料払い込みが免除されるというものです。
仮に払込が免除された場合でも、保険金は契約通りの金額を受け取ることができ、中には、そういった場合に育英金を受け取れる商品もあります。つまり、親御さんの身に何かあった場合であってもお子さんの学資を確保することができるのです。
純粋な預貯金だけでは、万が一の事態が発生した際に対応することができません。しかし、給付金や育英金が支払われる学資保険であれば、そんなときに対する備えにもなるのです。
この点が、学資保険が学資”保険”たる所以。学資保険に加入することは、ただ学費を貯めておくというだけでなく、お子さんが将来勉強を受ける権利を守ることにもつながるのです。
2-1-3 所得税や住民税が控除される
学資保険のメリットとして、生命保険と同様に支払った金額を年末調整等で申告することができるという点もあります。それにより、所得税や住民税から保険金額分が控除され、減税につながります。
先ほどの項でもご説明したように、保険的側面が強い学資保険。お子さんの将来に備えるための支出としてみなされるため、生命保険の一種として分類されるのです。
お子さんの学資を確保しながら限度額内で税金の控除を受けることで家計の負担を軽減できるとくれば、まさに一石二鳥ですね。
さらに、満期時に受け取れる満期保険金には基本的に税金がかかりません。この点も、節税を気にしている方にとって朗報と言えそうです。
しかし、満期保険金に税金がかかる可能性が全くないわけではありません。
- 掛け金が多い
- 満期金を学資年金として受け取る
- 支払った額と受け取った額の差が50万円以上になる
以上のような場合には税金が発生する恐れがあります。
③について具体的に考えてみましょう。課税額の計算式は、以下の通りとなっています。
( 受け取った金額 – 支払った金額 – 特別控除50万円 ) × 1/2
学資保険により受け取った金額の総額から、支払った保険料の総額をマイナスした金額が、税金の対象としてカウントされます。
学資保険によって受け取るお金は「一時所得」に分類され、所得税の対象になります。しかし、受け取った全額が対象になるのではなく、その総額から50万円が控除されることになっています。
文章だけでは若干複雑になってしまいますので、ここでシミュレーションをしてみましょう。
課税のシミュレーション
今回は、以下の状況を仮定してシミュレーションしてみたいと思います。
- 満期金額:300万円
- 加入時のお子さんの年齢:0歳
- 保険料:年額24万円
- 祝金:3回 / 45万円
この条件で、小学校に入学するタイミングで祝金として45万円を受け取った場合の計算は以下の通りとなります。
45万円 – ( 24万円 × 6年 ) – 50万円 × 1/2 = – 74.5万円
計算式に数値を代入して計算してみたところ、解がマイナスとなりました。したがって、この場合は税金がかからないことがわかります。
それでは、金額の大きい300万円の満期金額を受け取った時はどうでしょうか。
300万円 – ( 24万円 × 6年 – 45万円 × 3回 ) – 50万円 × 1/2 = – 7万円
満期金額を受け取った時でも解はマイナスとなります。この二つの試算を通して、学資保険で受け取るお金に税金がかかる可能性はそう高くないことがご理解いただけるでしょう。
受け取れる金額に税金がかかる可能性が低いだけでなく、定期預金などでは受けることができない控除を受けることができる学資保険。
それに対し、定期預金などの場合は受け取る利子にも税金が発生してしまいます。
一つ一つの金額は小さい税金ですが、積み重なると案外大きな金額になっているもの。家計の将来のために万全を期すのであれば、こうした一見些細なポイントも見過ごしたくはありませんね。
2-2 学資保険のデメリット
2-2-1 元本割れリスクがある
学資保険のデメリットは、支払った額が受け取る金額を上回る「元本割れ」の可能性があるということです。この点が、学資保険における最大のデメリットと言えるでしょう。
例えば、万が一保険料を負担しきれなくなり、学資保険を中途解約をしてしまうと、それまで払い込んだ金額よりも少ない金額しか返還されず、元本割れとなってしまいます。
「進学できるかどうかが不透明な大学の費用よりも、そこに行くため今、塾に入れてあげたい。しかし、その費用を準備できなくなってしまったため、学資保険を解約せざるを得なかった」という解約経験者もいらっしゃいます。
大学進学時の学費貯蓄を目的した加入者が多い学資保険。それなりにまとまった金額(表1,2を参照)を準備する必要があり、払い込みの期間が比較的長くなる傾向があります。
その長い間に景気や家計の状況が思いもよらない変化を遂げることも十分に考えられるため、この点には注意が必要です。
表1 大学の入学試験にかかる費用
入試種別 | 一般的な金額 |
センター試験 | 2科目以上 / ¥12,000
3科目以上 / ¥18,000 |
国立大学受験 | ¥17,000 |
私立大学受験 | 通常 / ¥35,000
医療・歯学など / ¥40,000〜60,000 |
受験時の交通費(地方と仮定) | 往復 / 約¥30,000程度 |
受験時の宿泊費 | 1泊 / 約¥8,000〜10,000 |
表2 大学在学中にかかる費用
種別 | 国立 | 私立(文系) | 私立(理系) |
入学費用 | 79.6万円 | 94万円 | 103.3万円 |
在学費用 | 109万円 | 149.2万円 | 177.3万円 |
合計 | 518万円 | 691万円 | 813万円 |
出典:国民生活金融金庫 / 平成25年教育負担の実態調査
また、元本割れのリスクがあるのは中途解約の場合だけではありません。学資保険の中では、お子さんの病気に備える医療保障などが充実しているものもあります。
しかし、そういったオプションがつくものは総じて保険料が高く設定されています。そのため、中途解約をしなくても元本割れを起こしてしまう可能性があるのです。
この医療保障については、ファイナンシャルプランナーといった有識者の間では利用しないのが一般的なようです。その理由は、そういった医療保障は必要に応じて別途医療保険に加入すれば良いからです。
あれこれとオプションをつけることで、学資保険の魅力である貯蓄性を損なってしまうよりは、目的に応じて保険商品を組み合わせて活用するのが良いでしょう。
2-2-2 金利上昇のリスクが伴う
もうひとつの学資保険のデメリットとして、加入の時点で返戻率が固定されることも挙げられます。満期期間が長い学資保険において、この点は時として大きなリスクとなりえます。仮に契約後に金利が上がったとしても、加入した時の低い利率で固定されたまま運用されてしまうからです。
だからと言って、金利が上がるまで加入しないわけにはいきません。この点に関しては、タイミングの問題と思って割り切る必要があるでしょう。
あくまでしっかりと備えておく、というの学資保険の大前提です。利回りを重視するのであれば、その時々に合わせることができる他の運用商品を活用するのが良いでしょう。
2-2-3 年齢、健康状態で加入不可の場合もある
保険商品である学資保険は、契約者やお子さんの年齢や健康状態により加入することができなかったり、保険料が高くなる場合があります。
高年齢になればなるほど様々な病症が発生する可能性が高いため、他の生命保険同様、契約者の年齢が上がるにつれ保険料が上昇します。
また、年齢制限を保険各社が設けているため、それを上回る年齢の人は加入すること自体できない場合があります。
さらに、契約者やお子さんが病気になった場合の通院費用も保障するような学資保険であれば、持病などの状況により保険に加入できない場合があります。
しかし、同じ病気であっても保険会社次第で加入できる場合もあるため、持病をお持ちの方はしっかりと調べておくことが重要です。
ここまで見てきたように、学資保険にはたくさんのメリットを持つ保険商品です。しかし、そのメリットも裏を返せばデメリットとなりかねません。
ご家庭に応じた適切な選択をするためにも学資保険のメリット、学資保険のデメリット両側面を理解しておくことが大切です。
3 学資保険はどんな人におすすめ?
様々なメリット、デメリットが存在する学資保険。では、学資保険に加入したほうが良いのはどんな場合なのでしょうか。
3-1 学資保険が必要な場合
3-1-1 貯蓄と保障を両立させたいとき
一番に挙げたいのが、貯蓄と同時にもしもの事態にも備えておきたい、という場合です。繰り返しになりますが、身の回りに万一のことがったとき、定期預金や金融商品の運用では万全の対応ができません。
しかし、学資保険に入っていることで、そういったケースであってもお子さんの学資金についてはしっかりと確保することができます。払込免除や育英金がついた商品であれば、その安心感は更に強まるでしょう。
生命保険に分類される、れっきとした”保険”である学資保険。不測の事態に確実に資金を確保しておきたいという方は、是非加入をお勧めします。
3-1-2 計画的な貯蓄ができるか不安なとき
小、中、高校、そして大学に入学するタイミングではまとまった費用が発生します。そのタイミングに向けて計画的な貯金ができていない、もしくは不安感があるという方には、学資保険への加入をお勧めします。
目標金額に向けて逆算的に貯金をしたり、油断するとつい浪費してしまったりと、自分の力だけでは学資金を蓄えられるか不安な方もいらっしゃるでしょう。
そんな場合には、半強制的に保険料を振込むことになる学資保険がぴったりです。計画的なお金の管理が苦手な方でも、一定額のお金を毎月確保することができるのです。
また、学資保険は多くの場合、進学に際して「祝金」としてまとまったお金を受け取ることができるようになっています。
保険料として毎月一定金額を支払う代わりに、必要なタイミングでお金を受け取ることができるため、計画的な貯金ができるか不安だ、という方にとって安心な商品と言えるでしょう。
逆に、お子さんの進学のに必要な分だけの十分な貯蓄があるという場合は、改めて学資保険に加入する必要性は低いと言えるでしょう。
4 学資保険とこども保険の違い
「学資保険」と「こども保険」。この二つの名前に混乱したことがある方は多いのではないでしょうか。
名前こそ違うこのふたつですが、同様に扱っている保険会社もあります。名前が似ているだけあって基本的なところは共通しているものの、厳密にいえばこの二つは違いがあるんです。
”お子さんの将来のために入る保険である”という点は両者とも同様です。しかし、それぞれがどんなポイントを重視しているというところが異なっています。
- こども保険:もしものための保障を重視
- 学資保険:貯蓄性を重視
こども保険とは、“お子さん向けに販売されている保険の総称”であり、狭義ではお子さんの万が一のケガや病気に対する保障を目的とする保険商品のことを指します。
そういった商品は保障が充実している反面、返戻率が100%を下回り、元本割れをおこすリスクも高くなります。
広義の「こども保険」の中に含まれる「学資保険」は、教育資金を積み立てることが主目的とした保険商品です。万が一に対する保障は二の次という扱いになるものの、返戻率が高く、100%を超えるものが多いのが特徴です。
しかし近年では、学資保険であっても保障が整ったプランが増え「こども保険」と「学資保険」のボーダーはますます曖昧になってきています。
保険会社は、差別化やキャッチーさを演出する目的で「こども保険、学資保険、赤ちゃん保険、教育保険」といったようにさまざまな名称をつけて商品を販売しています。
そのため、「学資保険」という名称だからといって貯蓄性が高く、「こども保険」と名が付いているから医療保障が充実している、と決めつけない方が良いでしょう。
各保険会社がつけた商品の名称でなく、その保障内容を元にご自身の状況に最適な保険を選ぶことが、お子さんの将来の教育資金に備えるために大切です。
5 学資保険の正しい選び方とは
ここまでの項目で、学資保険についての概要をご紹介してきました。学資保険とはなんたるか、をご理解いただけたところで、実践的な内容に移っていきましょう。
今やたくさんの保険会社から販売されている学資保険。ご家庭の状況は千差万別。数ある商品の中から、最適なものを選びたいところです。
保険期間が長く、解約時に損をしやすいためできるだけ失敗したくない学資保険。最適な学資保険を選ぶために抑えたいポイントをご紹介します。
5-1 返戻率
教育資金の確保が主たる目的である学資保険。教育資金をしっかりと蓄えておくため、元本割れはできるかぎり避けたいところです。
そんな学資保険において、その商品の貯蓄性を推し量ることができる「返戻率」は、もっとも注目すべき項目と言えるでしょう。
5-1-1学資保険の返戻率とは?
返戻率は、支払った保険料の総額に対して、どれだけのお金を受け取れることができるかを表した数値です。学資保険で受け取れる「満期保険金」と「祝金」という2種類のお金を合算し、以下の数式に当てはめることで算出することができます。
返戻率=(満期保険金+祝金)÷ 支払った保険料の総額 × 100
返戻率を見ることで、その学資保険に加入することでどれだけのお金を受け取れるのかを計算することができます。
この数字が100を上回るほど、よりたくさんのお金を受け取れることがわかり、100を下回る商品は元本割れをしてしまうことがわかるのです。
5-2 貯蓄型 or 保障型
学資保険とこども保険の違い の項目でもご紹介したように、学資保険には万が一の保障が充実している反面元本割れを起こしやすいタイプと、貯蓄性を高めるために保障を二の次としているタイプの二種類に分かれます。
一般的に、前者のものを「保障型」と呼び、後者のものを「貯蓄型」と呼びます。
5-2-1 保障型の学資保険とは?
教育資金の貯蓄に加え、契約者やお子さんの万一に備えるために医療保障や育英年金保障が整った学資保険のことを指します。
保障が充実している代償として返戻率が低く、元本割れをする傾向があります。
5-2-2 貯蓄型の学資保険とは?
貯蓄型とは、支払った保険料を教育資金として蓄え、支払った金額よりも増やすことを目的としています。
近年では学資保険だけでなく、終身保険などにおいてもこの「貯蓄型」が人気を博しています。
5-2-3 判断の際のポイント
学資保険の主目的である教育資金の確保を重視するのであれば「貯蓄型」を、万が一の場合にも安心できるよう備えておきたいのであれば「保障型」を選ぶのがと良いでしょう。
しかし、確かにどちらのタイプも学資を貯蓄することはできます。しかし、契約者やお子さんに対する保障は、生命保険や医療保険などで備えることができます。
したがって、そういったものを併用できる状況であれば、養育資金の確保に特化した「貯蓄型」の方がおすすめと言えるでしょう。
一方、教育資金を預貯金などの別の方法である程度準備しているという方には「保障型」を選択する価値があるでしょう。
一般的には、貯蓄型の商品を選ぶ方が圧倒的に多いようです。しかし、ご家庭の貯蓄や保険の状況などに応じて柔軟に選択するようにしましょう。
5-3 満期の時期で選ぶ
学資保険の満期の時期は、15歳〜22歳などといったように商品によって差があります。
その中でも人気が高いのは、17歳、18歳に満期を迎える商品です。もっともお金がかかる大学受験時に備えることができるからです。
大学受験だけでなく、高校受験もカバーしたいのであれば、15歳満期の商品を組み合わせたり、後述する祝金を15歳のタイミングで受け取れるものを選ぶのもお勧めです。
5-4 祝金の有無
学資保険の中には、中学、高校など物入りの時期に合わせ、12歳、15歳、18歳といった満期以外のタイミングに祝金という一時金を受け取ることができるものがあります。
家計への負担が大きくなるタイミングでまとまったお金を受け取ることができる便利な制度ですが、その回数を増やすぎると返戻率も下がってしまいます。
祝金についても、私立 / 公立のどちらに通わせるか、その負担にどれだけ対応できそうかなどといったようにご家庭の教育方針や家計の状況に応じて判断する必要があるでしょう。
5-5 月々の保険料負担額と払込期間
ここまでの点を考慮に入れ、受け取りたい金額やタイミングがある程度固まってきたら、どれぐらいの期間をかけて、月々どれぐらいの保険料を払っていくかを固めていきましょう。
一般的に小学校までの間は比較的家計の負担が少なく、中学校からは制服代や部活動などで出費がかさみ、負担が大きくなる傾向があります。
そのことまで見越したうえで、継続的に支払えそうな金額を月々の払込金額の上限に設定しておくことで、中途解約をするという最悪のケースを避けることができます。
6 学資保険の返戻率を高める4つの方法
5-1 返戻率 でも触れたように、返戻率はその学資保険がお得であるかどうかを判断する有力な指標となります。
実は商品であっても、より返戻率を高く、よりお得にする方法があるのです。ここからは返戻率を高く方法について見ていきましょう。
以下でご紹介する内容は、あくまでも返戻率を最大化するための方法であり、すべての方が行う必要性があるわけではありません。
中には一時的に保険料負担が大きくなるものもあります。そのため、家計に余裕がある場合に取り入れていただく、というスタンスでご活用ください。
6-1 なるべくまとめて保険料を支払う
学資保険は毎月保険料を支払う月払いだけでなく、半年払い、年払い、全期前納期払いというようにまとめての支払いが可能です。
支払いの回数が減れば減るほど返戻率が少なくなるため、できるだけまとめて支払った方がお得と言えます。
6-2 保険料の払込期間をなるべく短くする
学資保険は、保険料の払込期間をなるべく短くすることで、保険料の総額が安くなります。一回の支払い金額は集中しますが、結果的に見て返戻率を下げることにつながるのです。
6-3 保険金の受取も一回にまとめる
祝金は物入りのタイミングで一時金を受け取ることができる便利な機能ですが、保険金の受け取りはできるだけまとめて受け取った方が返戻率は高くなります。
さらに、なるべく遅いタイミングで受け取った方流ことで、保険金の総額をアップさせることができます。
6-4 保障内容を厳選する
保障が手厚くなればなるほど、返戻率は下がってしまう傾向があります。必要最小限の保障だけを選択するようにしましょう。
ほとんどの学資保険には払込免除が付いてるのですが、中にはこれが付いていないタイプの商品もあります。
学資保険の大きなメリットとも言える払込免除を付けない、というのはいささかリスキーですが、付かないタイプのものは当然、返戻率が跳ね上がります。
7 学資保険で受け取れる金額とは
学資保険について一通りご紹介してきました。ここからは、どれぐらい支払うことでどれぐらいのお金を受け取れるのか、実際に計算しながら見ていきましょう。
7-1 学資保険で受け取れる金額のシミュレーション
今回のシミュレーションでは、以下の場合を仮定します。
- 満期年齢:18歳
- 加入時のお子さんの年齢:0歳
- 契約者:30際 / 男性
- 満期金額:100万円
- 祝金:2回 / 30万円
- 支払い方法:月払い
ある会社の保険プランで試算をした結果、月々支払う保険料は約7500円、契約期間内に払い込む保険料の総額は約152万円となります。
一方、受け取れる保険金は、30万円の祝金を2回+満期金額の100万円となるため総額で160万円となります。
ざっくりとした計算にはなりますが、約8万円の利益が生まれていることがわかります。そして、2-1-3 所得税や住民税が控除されるの項目でご紹介した試算と同じように、満期金、祝金には税金がかかることがありません。
このように、目標金額と受け取りたいタイミングを設定して試算することで、毎回どれぐらいの金額をどれだけの間払い続ければ良いのか、どれだけお得になるのかのイメージをつかむことができます。
ご自身の家計で継続的に支払っていけそうな保険料なのか、教育方針に叶った金額をまかなうことができるのか、という点を確認する意味でも、契約前に必ず試算するようにしましょう。
学資保険とは:まとめ
いかがだったでしょうか。
「学資保険とは?」から「学資保険のメリット・デメリット」そして具体的な選び方まで、たくさんの項目がありましたが、全編を通してお伝えしているのは、学資保険とは教育資金の貯蓄である、ということです。
そのため、よほどの場合を除き、元本割れを回避するような商品に加入するのが学資保険選びのセオリーです。
数ある学資保険の中から一つに絞るのは一見大変に思えるかもしれません。しかし、今回ご紹介した”学資保険とはなんたるか”という知識を元に、
- 目標金額を貯蓄できる
- 無理のない範囲で支払っていける
- 返戻率が高い
という三点のフィルターを、上から順に通していくことでシンプルに保険選びをすることができるでしょう。
学資保険に関する知識を通して、家計、そしてお子さんの将来のお役に立てれば幸いです。