学資保険は長期間支払い続けるので、自分にとって無理なく払って行ける資金計画が重要になります。
6 元本割れが起こるパターンのシミュレーション
返戻率のパーセンテージが100%を下回ると、元本割れするものになりますが、分かりやすく言うと、満期ときにもらえる金額が、毎月支払う保険料の総額よりも少なくなってしまうものです。
では、なぜ元本割れが割れてしまうのでしょう?
それは、前述のように、育英年金や医療保険特約などの保障に対して大きな部分があるからです。
学資保険が元本割れを起こすのは、契約者が死亡してしまいその後の支払いが免除になる場合の他に、育英年金や医療保険特約が付いているからです。
万が一、契約者が死亡したり重度障害者になってしまった場合に、毎年、満期ときまで一定の金額が支払われるものを育英年金といいます。
もし貯蓄が目的なら、元本割れするような学資保険があるのは疑問ですが、きちんと計算しないで契約してしまうと、元本割れすることに気がつかないまま契約をしてしまうことにもなりかねません。
6-1 元本割れを起こす学資保険の例
それではここで、元本割れを起こす学資保険について、少し見ていくことにしましょう。
例えば、親戚の保険営業マンに勧められて加入した学資保険が、まさか元本割れするとは思ってもいなくても、いつの間にか元本割れの学資保険になっていた場合があるとします。
子供が0歳のときに加入し、6歳で20万、12歳で30万、15歳で100万、18歳満期で100万のトータル250万になる学資保険です。医療保険特約は付いておらず、契約者死亡のときの払込免除、および子供が死亡した場合に少額受け取れるようになっています。
生命保険には加入しているので、この学資保険は純粋に貯蓄用になっています。年払いの支払い額は14,4336円、子供は9歳になるので、これまで10回払っていて、その総額は144,3360円になります。
これを、今解約した場合、受け取れる金額は136万になり、払込金額の返戻率のパーセンテージは94%くらいになります。
元本割れする保険を継続するのも考えものだし、今解約しても受け取れる金額は少ないし、このような場合はどうしたら良いのでしょうか?
6-2 元本割れの学資保険に加入していた場合の対処法
このケースの場合は、まず学資保険を一旦解約して、新しい短期払い終身保険の一括払いにする方法があります。あるいは、総合代理店に相談を持ちかけてみるのもいいでしょう。
ただし、保険会社も利益追求が基本ですので、逆に手数料の高い保険に加入させられてしまうかもしれません。ですから、すべての保険会社の見積りをとって、それらを比較して調べることが大切です。
短期払い終身保険は基本的な保険なので、多くの会社が取り扱っていると思います。また、ほとんどの会社は4月から保険料が上がりますから、3月までに見直しをしたほうがいいでしょう。
ちなみに、学資保険ではアフラックとソニーが一番有利な契約条件を持っていて、0歳契約で、最終的には返戻率のパーセンテージをプラス10%前後までにもすることができます。
なぜ、これが可能になるのかというと、この二社の代理店の手数料が学資保険にいてはゼロに近いほど低いせいです。つまり、代理店にとっては、利益が少ない商品なのです。
それでも学資保険を売る理由は、生年月日などの貴重なデータが契約をすると入手できるからです。それをもとに、もっと手数料の高い、生命保険を始めとするさまざまな保険の加入に展開していく営業方針ということです。
6-3 営業から嘘の説明を受けて学資保険に加入している場合の対処法
最近では、学資保険の長所や有用性ばかりを営業が説明して、保険のデメリットを一切説明しない場合の事例をよく耳にします。保険の説明に嘘があったときは、誰でも納得がいかないでしょう。
この場合、最初に契約した保険会社に異議申し立てをすることになります。
しかし、十分に納得ができる答えをもらえないこともあります。
そうなると、不服を訴えて裁判もありえますが、手続きが面倒な上、お金もかかります。そういうときには、国民生活センターのADR(裁判外紛争解決手続き)という簡単に利用できる制度があります。
このホームページで、紛争解決機関として生命保険協会が紹介されていますが、具体的な手続きは、相談窓口に申し出て、保険会社との交渉のためのアドバイスが受けられます。
もし、これでも解決ができないようであれば、裁定手続きのための申し立てを裁定審査会にして、申し立てが受理されれば、その手続きをすることになります。
7 学資保険以外の方法で学費を捻出するには
あえて学資保険には加入しない、という方法はいかがでしょうか。
保護者を被保険者とする終身保険に加入し、子供の学費が必要になる時までに保険金の払い込みを済ませてしまえば、お金が必要になった時には解約返戻金で補い、さらに死亡した時は死亡保険金で学費を用意しておくことができます。
このケースてでは、なるべく返戻金のパーセンテージが高い保険を選ぶことが大切です。もし満期時にお金の必要がないときは解約しないでも、解約返戻金が毎年増額されていく特典があります。
ただ、離婚時した場合には、保険料支払いや名義などでよくトラブルになったりするので気をつけましょう。
また、「子供医療保障」が付いている学資保険の保険料は掛け捨なので、満期になると医療保障は終わってしまいます。
子供の場合の医療保険に加入するなら、学資保険についているものではなく、最初から別の子供医療保障に加入すれば、無駄な保険料を使わないでも保障を継続することができます。
商品によっては、解約したときに解約返戻金を受け取れる保険もあります。子供が、もし独立したときなどには、子供の名義に契約者書き直して、親からプレゼントするのも素敵なことでしょう。
7-1 学資保険の代わりに低解約返戻金型終身保険を利用する
貯蓄性という観点からは、学資保険よりは安いですが、低解約返戻金型終身保険はいつでも自由にお金を受け取ることができるので、学資目的の学資保険とは異なり、その使い道をいろいろなことに利用できることでは、安心できる保険であると言えるでしょう。
7-1-1 低解約返戻金型終身保険とは
低解約返戻型終身保険とは、終身保険の一種で、一生涯の保障が付属する保険のことです。逆に、終身保険以外は定期保険となり、更新型保険のことになります。
7-1-2 低解約返戻金型終身保険は一生涯保険料が上がることがない
終身型保険の長所は、保険料が一生定額で変わらないことです。定期保険の場合は、決められた期間ごとに更新し、その時々の年齢や健康状態に対応して保険料が高額になってしまうという欠点があります。
7-1-3 低解約返戻金型終身保険は貯蓄性が特徴
また、終身保険は一生涯の保障が付属しているだけでなく、その特徴としては貯蓄性が挙げられます。解約返戻金として支払った保険料が、一定の利率に応じて貯蓄されていくのです。
解約した場合にも、それまで貯蓄されていた金額が返還されるため、学資保険の代替として利用できるのです。
8 学資保険の正しい選び方
世の中にはたくさんの保険会社がたくさんの学資保険の商品を出していて、学資保険が必要なのに、いったいどれを選んだら良いのか迷ってしまいます。
学資保険はどのように選べば良いのでしょうか。
8-1 まずは学資保険の目的をはっきりさせる
学資保険に入る目的はなんですか、それをはっきりさせるのが初めにやるべきことです。保険に入る時の基本は、その保険を何の為に使うのかという目的をはっきりさせることが大切です。
学資保険の目的は、将来の子供の養育の為の資金として、そのお金を積み立てているわけです。あるいは、貯蓄だけでなく、保護者が死亡した場合の死亡保険金や、子供が大きな病気や怪我をした場合の保障もあります。
選ぶときに注意する点は「この保障だけはどうしても欲しい」ということを明確にしておくことです。それがはっきりしないと、何を選んで良いのか全くわからなくなることもあります。
それをうやむやにしたまま保険契約を結んでしまうと、育英年金も必要だった、医療保障も欲しいなどと必要のない保障付きのものに加入してしまうかもしれません。
つまり、加入したい保険の最低線を決定していれば迷わずにすみます。
8-2 学資保険は貯蓄型か保障型を選ぶ
一般的に学資保険は、貯蓄型が有利とされています。理由は簡単で、貯蓄型は元本割れをすることがないからです。
子供の将来の教育のためのお金を準備したいのに、払った保険の金額より安いお金が支払われるのでは意味がありません。貯蓄だけなら、銀行等から自動的に、毎月のお給料から自動的に貯金用の口座に振り込まれる契約もできます。
ところが、保障型の長所が全然ないというわけではなく、元本割れの分だけ保障の内容はバッチリ充実しています。多少元本割れをしても、保障される内容が自分にとって必要なものであるならば、保障型の学資保険を選択しても良いでしょう。
一般的には貯蓄型が有利と言われていますが、保障型は、貯蓄型にはないプラスアルファーを求める人にはとても安心な保険です。
9 学資保険が必要な人はどんな人、不必要な人はどんな人、その判断基準とは
学資保険が必要な人とはどんな人なのでしょう、また不必要な人はどんな人でしょう。あるいは、学資保険に加入する必要があるのかどうの判断基準は、どうなっているのでしょう。
9-1 貯金が少ない人は学資保険が必要な人
子供の小学校入学のとき、中学校入学のとき、高校入学のとき、大学入学のとき、必ずかなりの資金を準備しなければなりません。そのときまでに貯蓄するのが難しい方は、学資保険の契約を考えた方が良いかもしれません。
プランにもよりますが、学資保険は子供が進学のときに、それまで払い込んでいたお金の総額をまとめて支払われるというシステムです。必要なときに契約したお金が支払われますから、貯蓄が下手な人にも安心です。
もし保護者が死亡するようなことがあっても、学資保険から育英資金や保険金が支払われます。
9-2 貯金が充分にある人学資保険が必要でない人
学資保険は子供の明るい未来のための資金を貯蓄する方法で、強制的に加入しなくてはならない保険ではありません。十分な貯蓄を持っているのなら、子供が生まれたときに学資保険に加入する必要はないでしょう。
本末転倒して、学資保険の加入が目的になっていないかどうか、確認してみる必要があるかもしれません。また、現在の収入が年収2000万円を超すように高額であるならば、まず学資保険を考えることはないでしょう。
例えば、そのような方でも学資保険は貯蓄用にして、まさかの時は生命保険で補うといいうような契約も可能です。実際そちらの場合は、保険料が学資保険よりも定額になります。
毎月10,000円程度を学資保険に支払うより、生命保険で万が一の場合に備える方がメリットがあるといえます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。学資保険は子供の未来のため将来の資金を貯蓄していくのに有利な保険です。
学資保険には、二つのタイプがあり、それは元本割れするものと元本割れしないものです。保障の面で手厚い学資保険は元本割れするものになりますが、貯蓄が目的ならば元本割れしないタイプの隠し保険を選ぶようにしましょう。
しかし、元本割れを起こしてしまう場合もありますので、気をつけなければなりません。もし、学資保険が元本割れを起こしてしまえば、子供の将来のためにせっかく貯蓄しているのに、受け取れるお金は払った金額よりも安くなってしまいます。
保険の営業は育英年金や医療保険特約などの保障を売りたくて、ほとんど元本割れしているものを勧める場合もあります。
元本割れのない学資保険とは、育英年金や医療保険特約などの保障が付いていないシンプルな保険で返戻率のパーセンテージが高率の保険になります。
自分でしっかりと見分けることが、重要です。もし、自分に自信がないときは、保険に詳しい人に相談してみてください。