それと同様に、なるべく早く払込を完了する(払込期間を短縮する)ことで、返戻率が上がりお得になるのです。
一般的な学資保険は、22歳満期なら18歳(17)歳、18歳満期なら15歳などと満期期間に連動して払込完了のタイミングが設定されていますが、保険会社によっては、払込完了を10歳などに短くすることができる商品もあるのです。
本来であれば18歳になるまでゆっくりと払い込む金額を、10歳までの短い期間で払い込むこのプラン。
その分毎月の保険料は大幅に上がりますが、その見返りとして返戻率がアップするという大きなメリットを享受することができます。
2-2 払込完了のタイミングによる返戻率変動の試算
実際に試算してみましょう。下の表は、18歳時点で払込を完了した場合と、10歳時点でした場合の試算です。ともに契約者を30歳、受取総額を300万円と仮定しています。
払込期間 | 18歳 | 10歳 |
月払保険料 | 1万3,190円 | 2万2,560円 |
受取総額 | 300万円 | 300万円 |
累計払込保険料 | 284万9,040円 | 270万7,200円 |
返戻率 | 105.2% | 110.8% |
いかがでしょうか。毎月の保険料負担額は上がってしまいますが、それに伴って返戻率もジャンプアップしています。このタイプの学資保険はニーズも多く、売れ筋となっているそうです。
毎月の負担額が上がるにも関わらず選択する人が多い理由は、10歳までの間はお子さんにかかるお金が比較的少ないからです。
小学校は公立に行かせる割合が多く、部活動などのイレギュラーな出費も少ないですよね。金銭的な余裕が生まれやすいうちに支払いが完了する上、返戻率も上がるという点が評価されています。
お子さんの成長に伴って養育費も高くなっていく場合がほとんど。そんな時に困らないよう、なるべく早く払込を完了させておくのが理想的です。
3 学資保険のいつから ③給付金受取り
ここまでの章で「なるべく早くから加入し、なるべく早く払込を完了させるのが理想的」というポイントをご紹介してきました。最後に「学資保険の給付金はどのタイミングで受け取れば良いのか」という点についてご説明していきたいと思います。
受け取りのタイミングがとても大切な学資保険。お子さんが進学した際の入学費や授業料を積み立てることが、学資保険の主な目的ですよね。
そんな学資保険において、お子さんの入学費や授業料を支払ったあとにしか学資金を受け取れない、ということになってしまっては意味がありません。
そんな事態を避けるため、学資保険の給付金はいつから受け取ることができ、いつ受け取るのがベストなのかしっかり押さえておきましょう。
3-1 子供の教育費、いつから、いくらかかる?
学資保険の学資金をどのタイミングで受け取るかは、ご自身のご家庭がどういった教育方針をとっているかによって変わります。大学に通わせたいかどうかはもちろん、文系か理系かでも金額が大きく差が生まれてきます。
そこで、いつから、どれだけの教育資金が必要になってくるのか詳しく確認したいと思います。冒頭で一般的な教育費について触れましたが、ここでは各セクションで発生する教育費を公立と私立に分けて見てみましょう。
タイミング | 入学費 | 年間教育費(年) | その他活動費 |
幼稚園/公立 | 10万円 | 25万円 | 14万円 |
幼稚園/私立 | 10万円 | 50万円 | 14万円 |
小学校/公立 | 10万円 | 30万円 | 24万円 |
小学校/私立 | 30万円 | 120万円 | 24万円 |
中学校/公立 | 10万円 | 45万円 | 31万円 |
中学校/私立 | 30万円 | 125万円 | 31万円 |
高等学校/公立 | 20万円 | 50万円 | 26万円 |
高等学校/私立 | 40万円 | 105万円 | 26万円 |
大学/国公立 | 30万円 | 50万円 | – |
大学/私立文系 | 30万円 | 90万円 | – |
大学/私立理系 | 110万円 | 120万円 | – |
大学/私立医科 | 200万円 | 370万円 | – |
もっともお金がかからない、幼稚園から文系大学まで公立に通った場合でも約820万円、すべて私立に通えば約2060万円かかることになります。
入学金や通学年数も考慮すれば、この中でもっともお金がかかるのは大学ですが、中学や高校の時点で私立に進学する可能性がないわけでもありません。
大学進学時はもちろん、それまでの間に起こるかもしれない不測の事態にも備えられると嬉しいですよね。そんなニーズに応えるため、保険金給付の方法に2つの種類が設けられている学資保険が多くなっています。その点について詳しく確認していきましょう。
3-2 学資保険の保険金給付は2種類ある!
学資保険は、保険金の給付のされ方に違いがあります。その種類は大きく分けて以下の二つです。
- 大学入学時に満期学資金を全額受取る
- 大学入学時の満期学資金に加え、中学、高校などの入学時に祝金を受取る
大学入学に備え、学資金を一括で受け取るか、それ以外の物入りのタイミングでも一時金を受け取れるようにするかの2種類となっています。
3-2-1 祝金付きのタイプが使い勝手◎
ご家庭の状況によってが変わってくるため一概に”どちらがお得”と断定することはできず、そのどちらにもメリットがあります。
aのメリットは、bに比べて返戻率が高いということが挙げられます。学資保険を検討するにあたって貯蓄性を重視しており、返戻率をなるべく高くしたい、という方は満期にまとめて受け取れるタイプのものを選ぶのが妥当でしょう。
とはいえ、先ほどの項目で確認した通り、中学や高校に入学する際にも、入学金や制服代、教科書代などある程度の資金が必要になってきます。そもそも、お子さんを大学に進ませるか決まっているわけではない方も多いでしょう。
そんな場合は、使い勝手良いbのプランを選ぶことをお勧めします。
確かに、大学進学時にはそれまでと比べてたくさんのお金がかかってきます。学資保険を利用する多くの方が、大学の入学資金への備えを最大の目的としているようです。
しかし中学、高校に入学するタイミングでの出費に耐え切れず、まとまったお金を確保するために学資保険を解約せざるを得ない、ということになってしまっては、学資保険に加入する意味がありません。
そんな最悪のパターンに陥ってしまうリスクを最小限にとどめるという意味でも、要所要所で祝金を受け取ることができるタイプのものを選択する方が多いようです。
3-2-2 祝金は据え置きで返戻率アップ!
祝金を受け取れるプランを選択したからといって、必ずしも不利になるというわけでもありません。もし給付のタイミングになって祝金が不要であれば、次回に据え置くことも可能なのです。
その上、据え置きをすることで返戻率も上昇します。満期のタイミング以外にもお金を準備することができ、さらに不要な時にはしっかりと貯蓄に回すことができるこのプラン。
どちらを選択するべきか悩んでいる方は、祝金を受け取れるプランを選んでおくのが無難といえるでしょう。
3-3 学資保険の満期・祝金のタイミングの種類
学資保険は、満期のタイミングをいつにするかでも返戻率が変わってきます。各社の商品によって多少のばらつきはありますが、満期の年齡には一般的に「17歳」「18歳」「20歳」「22歳」の4種類があります。
大学に進学するのは18歳の代なので、17歳満期の商品は少し中途半端なタイミングに思えるかもしれません。しかし、これには満期に関するルールが大きく関連しており、子さんが早生まれだった場合に対応できるよう17歳満期を設定している保険商品が多いのです。(この点に関しては後ほど詳しくお伝えします。)
それに加え、大学在学中の負担を軽減するために20歳満期が、大学進学以降の大学院進学のための教育資金や生活費、留学、社会人準備などのために22歳満期が設定されています。
各社商品によって詳細なプランには差がありますが、どちらにせよ 大学進学時まで備えるか 、卒業後の準備金も視野に入れて 大学卒業時まで備えるか ということですね。
ここからは、それぞれの満期のタイミングが持つ特徴や、先にご紹介した aパターン / bパターン での受け取り例をご紹介します。
3-3-1 17歳・18歳満期の場合
中学や高校に入学する際の費用と、大学に進学する際の費用をトータルに備えることができる。
- 満期学資金を一括で17または18歳時に受取る。
- 12歳、15歳でお祝い金、17または18歳で満期学資金を受取る。
3-3-2 20歳満期の場合
大学進学のための資金だけでなく、成人式や大学在学中の教育資金に備えることができる。
- 満期学資金を20歳時に一括で受取る。
- 12歳、15歳、17歳または18歳でお祝い金、20歳で満期学資金を受取る。
3-3-3 22歳満期の場合
大学を卒業した後の、大学院や留学といった教育費や、社会人生活に備えることができる。
- 満期学資金を22歳時に一括で受取る。
- 18歳~21歳の4年間にお祝い金、22歳で満期学資金を受取る。
3-3-4 返戻率より必要性で満期のタイミングを選ぶ!
満期までの期間を長く設定すれば、それに伴って保険会社の運用期間も伸びるため、返戻率は上がります。したがって、返戻率を重視するのであれば17歳に比べて22歳の方がお得になると言えるでしょう。
しかし、学資保険が持つその性質を利用し、満期を引き延ばすことで返戻率を高く見せている商品もあります。上記で見たようにどのタイミングで満期を迎えるかによって、満期学資金や祝金の用途は異なってきます。
そのため、返戻率にとらわれるあまり不必要な時期まで契約してしまわないよう、事前に ”どのタイミングでお金が必要になるか” をしっかりと見極めて、満期を設定することをお勧めします。
もし決定打に欠けるのであれば、まとまった学資金が必要になる可能性が最も高い18歳時に満期学資金を受け取れるものを選ぶのが良いかもしれません。
だからと言って、大学院に進学したり、海外へ留学する可能性もゼロではありません。そのため、お子さんに「専門性の高い教育を受けさせたい」、「グローバルに活躍してほしい」という明確な教育方針をお持ちのご家庭にとっては、22歳満期を選択する価値があるでしょう。
実際にお子さんがその時になってみなければわからない、不確定要素が多い部分ではあります。それだけに、お子さんに少しでも多くの選択肢を与えてあげられるよう、余裕を持って計画を立てておきたいところです。
3-4 学資保険の満期日のタイミング
先ほどの項目で、早生まれのお子さんに対応できるよう、17歳満期を設定している保険商品が多いとご説明しました。ここでは、この点について少し詳しくご説明していきます。
3-4-1 満期日は契約のタイミングで決まる!
学資保険では、満期や一時金が受け取れるタイミングを「22歳満期」などと年齢で表記されることが多いため、”お子さんの誕生日が満期日になる”と思ってしまう方が意外と多いようです。
しかし、多くの保険会社は学資保険の満期日を、 満年齢を迎えた後に訪れる契約応当日 と設定しています。契約応当日というのは、契約を行った日付のこと。お子さんの誕生日が満期日になる、というわけではないのです。
ではここで、18歳満期の学資保険に契約した際の契約日、誕生日、満期日の関係についてまとめてみましょう。
誕生日 | 契約日 | 満期日 |
7月7日 | 8月7日 | 高校3年の8月7日 |
7月7日 | 6月7日 | 大学1年の6月7日 |
1月15日 | 2月15日 | 高校3年の2月15日 |
1月15日 | 12月15日 | 大学1年の12月15日 |
このシミュレーションのように、18歳満期の学資保険の場合、お子さんの誕生日と契約したタイミングの兼ね合いにより、満期保険金の受け取りが大学へ入学金などの納入期限に間に合わない可能性があります。
そういった場合に対する備えとして、17歳満期の学資保険があるのです。17歳満期であれば、お子さんが早生まれであっても、大学の入学金を納めるタイミングまでに満期保険金を受け取ることができるでしょう。
ところが、18歳満期などに比べて保険契約期間が短くなるため、その分月々の保険料負担額が高くなり、戻り率は下がるので注意が必要です。
逆に、20歳満期や22歳満期であれば、18歳時に大学進学時の祝金を受取るのが一般的です。その場合は、受け取りのタイミングが入学金を納入する時期に合わせてあるため、契約日と誕生日の兼ね合いについてあまりナーバスになる必要がありません。
3-4-2 推薦入試やAO入試に備えるなら高校3年の秋には受け取りたい
通常、一般入試で大学に入学する際のは、高校3年の2月か3月頃が入学金の納入期限となっています。ところが、近年増加している推薦入試やAO入試での入学であれば、それに比べてかなり早いタイミングでの納入が必要になってきます。
AO入試の場合、早い大学であれば高校3年の夏休み前から出願を受け付け、夏休みの間に入試が実施されるところもあるようです。推薦入試の場合でも高校3年の秋に出願及び入試をし、その後1か月ほどで合否が決定します。
合格が決まってホッとしたのもつかの間、その日から数えて約2週間以内に入学金を支払わなければならない場合が多いようです。そういった時のも備えられるよう、可能であれば満期保険金を高校3年の秋までに受け取れるように契約しておくのが安心です。
学資保険のタイミングまとめ
いかがだったでしょうか。この記事では加入、払込完了、給付金受取りと、学資保険に関する3つの「いつから」についてご紹介してきました。
「学資保険 いつから?」という疑問にお応えできたのではないでしょうか?
ここまでの要点を簡単に振り返ってみましょう。
- 学資保険へはなるべく早く、できれば妊娠中に加入する
- 学資保険はなるべく早く払込完了する
- 祝金付きのタイプで要所の出費に備える
- 推薦入試やAO入試に備えるなら、高校3年の秋に受け取るよう設定する
上の二つの項目についてはどのご家庭でもなるべく意識していただきた方が良い項目です。
対して下の二つについては、あくまでもリスクに最大限に備えたい場合にオススメの選択肢です。
我が子がかけがえのない存在であるように、それを育むご家庭の状況も千差万別です。
今回ご紹介した知識を土台として、ご自身の状況に最も適したタイミングで学資保険を活用していただければ幸いです。