学資保険とは

一口に「学資保険」と言いますが、その商品内容は各保険会社によって千差万別と言って良いでしょう。

かつては「万一の場合」に重きを置く「保障型」が中心でしたが、現在では高い返戻率を謳う「貯蓄型」が主流となっています。かんぽ生命の学資保険の内容が大きく変更されたのは、この流れを象徴するものと言えるでしょう。

しかし、「貯蓄型」と言われるものも、保険会社によってかなりの違いがあり、どの保険商品を選んだら良いのか、迷う方が多いのではないでしょうか。

一旦加入してしまうと、なかなか他に変更することは難しい学資保険。加入前に腰を据えて内容を確認することが必要です。

特に保険会社が決まっていない方には「保険の窓口」のようなところにご相談されるのも一つの方法かなと思います。

今回は、実際に相談される前の判断材料の一つにしていただけるように、人気の「学資保険」ベスト５を徹底比較してみました。

比較する視点として、学資保険の内容を単なる返戻率による比較だけでなく、保険金の支払い方法や時期について弾力的にプランの作成が可能か、保険金の受け取り時期が、実際にお金が必要な時期に本当にマッチしているのか、という点にも留意してみました。

また、銀行預金など他の業態の金融商品と比較する場合の参考として、「年利」に引き直した数字も計算してみました。

なお、比較する際には、全ての商品をなるべく同一の条件で比較するように心掛けていますが、内容によっては出来ないものもありますので、予めご了承ください。

1 学資保険「人気ランキング」のアンケート調査について

1-1 楽天リサーチによる調査、どのような手法で調査したのか？

学資保険に加入した方が、どこの会社の保険に加入したのか、どんな学資保険が人気なのかを調査した「楽天リサーチ」のアンケート結果があります。

このようなアンケート調査はなかなか無いので、貴重な資料と言えるでしょう。

内容に入る前に、この調査の概要について一応触れておきます。

このアンケート調査について一言補足します。（統計学上の話ですので、興味のない方は読み飛ばしていただいても結構です。）

本調査の母集団が少ないような気がしますが

このようなアンケート調査をする場合、全ての国民を対象に調査をする訳にもいかないので、標本調査（サンプリング調査）という手法を取ります。

統計学上で「このくらいの数をサンプルとして抽出すれば、ほぼ現実に近い結果が得られるかも。」というサンプル数を選んで調査するものです。

全体数が多いほど、サンプリングの数も多くなると思われがちですが、実は下記のように１００万人以上の場合は３８４より増えることはありません。

なお、調査の手法上、標本調査（サンプリング調査）は、サンプルの取り方次第では実際とかけ離れた結果が出る場合もあるということに留意してください。

今回、サンプル数が300ということで、少しすくないかなという気もしますが、それ以前の予備調査の段階で条件通りに保険に加入していた方が300しかいなかった可能性もあります。調査としては、ある程度の信頼性はあると評価できると思います。

実際、加入した保険会社名が具体的に示されている資料は非常に貴重なものだと思いますので、この結果を参考にして「学資保険」ベスト５を選び、それぞれについて調べてみたいと思います。

学資保険以外のほうが多い？

実は、結果を見ますと、300サンプルのうちの３分の２が学資保険以外に加入しているという、ちょっと意外な結果がでています。

「ランキング１位は学資保険以外でした」というのが結論になってしまうかもしれませんが、それについては、他の方がまとめているようですので、ここでは最後に少し触れる程度にします。

このレポートはあくまでも「学資保険」に絞るということでご了承ください。

では、この資料から、「学資保険のベスト５」をピックアップしてみます。

1-2 楽天リサーチによる人気商品調査結果ベスト５

という結果になりました。

この結果をみて、どう思いました？大体予想通りでしたか？
私自身としては、ＪＰかんぽ生命が１位ではないかと予想していたので、ちょっと意外でした。私の年代（５０代半ばです）だと、「学資保険＝かんぽ」という固定観念があるのかもしれませんね。

では、次にこの５社の学資保険について商品内容、返戻率などを見ていきながら、ランキング上位に来る理由を考えてみたいと思います。

2 人気ランキング上位の学資保険の商品内容は？

人気を集めている学資保険は、どんな商品なのでしょうか。それぞれの商品の内容についてまとめてみました。

2-1 ベスト５各社の学資保険の内容について

2-1-1 フコク生命「みらいのつばさ」ステップ型・ジャンプ型

まず、堂々の人気ランキング１位に輝いたこの商品は祝い金のある「ステップ型」と祝い金のない「ジャンプ型」の２種類となります。

フコク生命「みらいのつばさ」について、補足

この商品の大きな特徴は兄弟割引がある、ということです。兄弟で入る場合、新たに加入する保険の支払額が、月払いで満期保険金額10万円につき、月額10円割引になります。

小さいようですが、満期保険金100万ならば月100円、支払総額で20,400円の割引となります。ジャンプ型の場合、満期返戻率で換算すると、1.3％の押し上げとなります。

2-1-2 ソニー生命学資保険スクエア（Ⅰ型～Ⅲ型）

人気ランキング第2位に輝いたこちらの商品には、Ⅰ型～Ⅲ型の３種類があります。簡単に違いをまとめてみます。

ソニー生命学資保険スクエア（Ⅰ型～Ⅲ型）についての補足

Ⅲ型は、いったん販売中止になりましたが、2016年1月に復活。返戻率の高さで人気を集めています。

一方Ⅰ型とⅡ型は返戻率がダウンすることになりました。Ⅲ型は、返戻率と並んで払込期間などでの自由度がかなりあり、「オーダーメイドできる学資保険」という性格が強いです。

Ⅲ型で払込期間を最短の１０年とすると、満期返戻率 115.9%、年利 0.99%という高利回りを示現します。

また、 5年ごと利差配当付年金支払特約あり、現状ではあまり現実感がないかもしれませんが、景気が回復し金利が上昇、運用益が予定より上回った場合には、契約後６年目から配当金が支払われる場合があります。

2-1-3 JPかんぽ生命

同率人気ランキング第２位となった学資保険はこちらのJP「かんぽ生命」。かつては、「学資保険」と言えば、かんぽの代名詞と言えるほど有名でしたが、民間生命保険会社各社が貯蓄性重視の商品を投入したため、かんぽ生命はシェアを落とすこととなりました。

今回、補償重視型→返戻率重視に舵を切った「かんぽの学資保険」。大学生活中に学資金を受け取れるプランも新たに加わり、かつての学資保険No.1の座奪還を狙っています。

プランは３種類あります。

1. 「大学入学時」の学資金準備コース
2. 「小・中・高+大学入学時」の学資金準備コース
3. 「大学入学時+在学中」の学資金準備コース

なお、全て病障害入院特約と災害特約が付いています。

2-1-4 日本生命保険相互会社・ニッセイ学資保険（祝い金無，有）

第４位は生命保険会社最大手の日本生命。二つのプランがあります。

二つのプランとも、大学に入学してから学資金が毎年受け取れるというプランになっていて、学資保険としては合理的な商品設計かなと思いました。

払込期間を最短にした場合、「祝い金なし」プランでは返戻率を116.2％まで上げることができますが、月々の払いは３万円超となります。

2-1-5 JAこども共済学資金型ステップ

JAが販売している「こども共済学資金型ステップ」。プランは3種類が用意されています。

2-2 人気5社の学資保険をプランごとに一覧表にしてみました。

上記のとおり、各社プランによってかなり異なります。そこで便宜上、以下のように分けてみました。

① 幼稚園入園時から受け取るタイプ

② 小学校入学時から受け取るタイプ

③ 中学校入学時から受け取るタイプ

④ 大学入学以降に１~２回受け取るタイプ

⑤ 大学入学以降３回以上で受け取るタイプ

（第１表　学資金の受取時期（回数））

（第2表　学資金の払込期間、保険満期、払込方法）

上記5社のうち。ＪＡは、契約者に万一のことがあった場合、毎月育英年金が支払われます。

他4社は、「支払い免除」が標準で装備されています。

2-3 類似したプランごとに満期返戻率を比較

上記のとおり、人気ランキング入りを果たした各社の各プランで内容が違うので、ご契約を考えている方のニーズに合わせるという意味で、なるべく同じ内容の商品を比べてみようと思います。

2-3-1 「幼稚園入園時から受け取るタイプ」の比較

フコク生命みらいのつばさ「ステップ型」とＪＡこども共済学資金型「にじ」「えがお」の計３種類が該当します。

資料の関係から、比較の条件が両社で異なりますので、ご了承ください。

フコク生命　契約者30歳（男）　被保険者0歳　保険期間22歳　保険料払込期間17歳

ＪＡ　　　　契約者30歳（男）　被共済者0歳　共済期間22歳　共済金払込期間22歳

人気記事ランキング