資保険が必要なのか、不要なのかという問題は、既に小さなお子さんがおられる方やこれから我が子を出産される方などにとって非常に重要な問題になってくることと思います。
統計によると、学資保険に加入されているご家庭は全体の7、8割を占めているとされており、加入されていないご家庭の方が圧倒的に少ないというのが現状です。
なので「周りの人がそんなに入ってるなら私たちも……」、と未加入の方は狼狽されてしまうかもしれません。ですが、必ずしも加入しなければならないといった強制保険ではないので、今直ぐ急いで加入する必要はありません。
確かに、子供の将来の学費の積み立てなどに学資保険は有効な手段ではありますが、ご家庭によっては不要なケースも存在するためです。学資保険に未加入のご家庭の中には故意で入られていない方などもおられます。
「何故学資保険に入らないの?」と疑問に思う方も少なくないかもしれません。ご家庭によって様々な事情は勿論あるかと思いますが、端的に言うならば加入する必要がない(不要)とご家庭で判断して加入していないことが多いのです。統計学上で見ると、その割合は極少ですが、加入する必要がない方は無理に契約する必要はないのです。
そこで今回は、学資保険が不要な人はどのような人なのか。また、何故加入されないのか、などをご紹介していきたいと思います。
目次
そもそも学資保険とは?
学資保険とは子供の教育費(学費や学校外で掛かる費用)に掛かるお金の補助を目的とし、保険料を支払うことによって、教育資金が必要になると決められた時期にまとまったお金を給付金として受け取ることが出来る保険(商品)のことを言います。
生命保険と同様に、子供又は親に予期せぬことが起こった場合には治療費や死亡保険金などの給付金が下りるものも存在します。
会社によっては子供が一定の年齢に達した際には祝い金として給付金(祝い金と名が付けられていますが、会社からのボーナスなどではなく、満期の保険金の前払いという言葉のカラクリですが)を受け取ることも出来ます。
中には、育英年金と言った保険契約者が亡くなってしまった日から保険期間満了まで被保険者に給付金が支払われるものもあります。
つまり、学資保険は単に教育費の積み立てだけでなく、契約者の被保険者の安否を保証するといった生命保険や入院保険と肩を並べる目的で作られた保険(商品)ということです。
子供の教育資金の為だけに備えるのではなく、子供に万が一のことがあった際の備えとしても活用が可能です。
学資保険の存在意義
生まれてくる我が子や赤ちゃんの為に、将来の教育費の準備を踏まえて学資保険にこれから加入を検討される方が多いかと思います。
この際に、この保険に対し何を求めるのかなどの明確な理由をしっかりと持っておきましょう。そうすることにより、重要となってくる保証やメリットなどが分かってくるからです。
「預けているとすぐに使ってしまう」、「貯金すらそもそも出来ない」といった悩みを持っているご家庭には、預けているお金を受け取る際にひと手間かかる手続きがある方が億劫と感じ手を出しにくくなります。
反対に、「貯金をしっかりしている」、「貯めるのが苦にならない」といった誘惑に強いご家庭には学資保険という選択肢だけでなく、よりメリットや利子が高い商品を探した方が、得をするケースもあります。
迷った時は、沢山のプランや保証が用意されている各保険(商品)をチェックしたり、自宅近くに生命会社などがあるのならば、店頭に足を運んで相談したり資料を請求してみるのもいいでしょう。
何を必要として保険に入るのかで、必要性やメリット、デメリットが見えてきます。もちろん、場合によっては学資保険が不要、というパターンも十分に考えられます。
学資保険に入るのも確かに方法の一つとしてありますが、計画的にお金を貯めていけているのならば、学資保険に深くこだわることはないでしょう。
1. 学資保険のメリットとデメリット
学資保険とはどのようなものなのかを上記でご説明しましたが、この商品のメリットとデメリットの点も補足という名目でご説明します。
1-1. メリット
①お金を確実に貯蓄していけ、有用性に優れている
子供の学費を着実に貯めていく為に、学資保険を利用しながらも使用出来ないようにしておく。これは、将来確実に必要な学費を必ず貯蓄出来ていけるので重要な要素です。
銀行などにお金を預けるのも選択肢の一つとしてありますが、融通性が利くので不本意に引き出して使用してしまう可能性があります。特に、貯金の積み立てが苦手な人は要注意です。貯蓄管理や各種費用の配当が出来ない人はその学資保険に加入するのが一つの手段となります。
学費を確実に貯めていくために学資保険を利用して使えないようにしておく。学費は将来確実に必要なお金のため確実に貯めていくのが重要です。
また、低金利の時代となった為、銀行にお金を預けていても利息が殆ど付かない面もあります。保険にもよりますが、払い込んだ保険料より受け取れる総額が大きくなり、商品によっては10%程増加することもあります。学資保険は貯蓄商品なので返戻額が高い商品を選ぶのが良いでしょう。
②予期せぬことが起こった場合、保険料が免除になる
学資保険は生命保険会社が販売する商品なので、殆どの商品には生命保険機能が備わっており、保険料が免除になるのが一般的です。
万が一のことが契約者(親)に起こった場合に保険料が支払っていくのが困難になるケースがありますが、学資保険には保険料が免除されていることが殆どです。その為、免除の付いた保険の場合は契約者に不測の事態が起こっても、保険料の支払いが免除になり、将来に支払われる満期金や祝金などを契約通り受け取ることが可能です。
③学資保険は生命保険の控除の対象
他の金融商品にはないメリットとして、生命保険料の控除があります。子供の保険は生命保険会社が販売する生命保険の一つで、支払った保険料は生命保険控除の対象となります。
住民税で約3万円、所得税で4万円が最大控除されるので他の金融商品には魅力の一つとなります。
とは言え、控除額全てがそのまま受け取れるわけではなく、課税所得から個々の保険料控除額を差し引き、その金額に所得税率をかけた金額が最終的に受け取る額、という形になります。
1-2. デメリット
①インフレに対して脆弱性がある
学資保険を18年間で契約すると、利回りが18間固定されてしまいます。市場の金利が継続して低金利であれば、学資保険の方が利率が高いですが、その過程で市場金利が上昇してしまうと、一気に不利になってしまうことがあります。
低金利のタイミングは、運用商品の短期の固定金利か変動金利のタイプを選択する、というのが原則な為、大きなインフレが生じた場合は、のちにデメリットとなってしまいます。
②長期間にわたり資金の拘束がある
学資保険には着実に貯蓄出来るというメリットがありますが、長い期間にわたって少しずつ貯めていくものな為、その間社会の経済事情や自身、家族に何が起こるか分かりません。
18年の契約をした場合には、その長い期間に資金が拘束されるので、換金性が極めて低いです。また、仮に途中解約をしてしまうと元本割れをしてしまう可能性が高い為、契約当初に定めた期間をやり遂げる強い覚悟と鋼の根性が必要になってくるのです。
2. 学資保険が不要な人
今回のテーマである、「学資保険が不要な人」とは一体どのような人を指しているのでしょう。
学資保険に入らない人々の主な特徴や理由、学資保険の穴埋め的に利用していることなどをご紹介していきます。
学資保険は、強制的に貯蓄が出来て便利だったり、周囲の家庭から勧められたりなどの理由で加入される方が多くおられます。勿論、加入自体が悪いことではなく、計画的に加入されたのならば全然問題にすることではありません。
しかし、加入する必要がないのに周りに流されて加入されているご家庭の方がおられるのも事実です。今一度、学資保険が不要な人はどのような家庭、人なのかをご紹介します。
2-1. 充分に貯蓄がある。または将来の我が子の教育資金が用意出来ている
加入されている多くの方が学資保険に求めているのは、子供の教育資金の運用です。ですが、既に我が子の教育資金を準備、賄える余裕があるのならば、学資保険にこだわる必要性はありません。
学資保険には契約者の死亡保障というのが付いているタイプもありますが、資金の用意に事足りているのなら、通常の生命保険だけといった選択も出来るからです。
2-2. 貯金をするのが好きだったり、管理がしっかりと出来る
上記の貯蓄があると似ているように思われますが、こちらは既に貯金が充分にある状況ではなく、お金を貯めていくのが得意な人というパターンです。
メリットの小見出しに、学資保険は確実に貯めていけるので、お金の貯金や積み立てが苦手な人は加入することをお勧めしましたが、貯めるのが好きな人や貯蓄管理が出来ている人は、学資保険に必ず加入する必要は無いのです。
商品によっては利息が付かないものもあるので、無理に加入するよりも通常の金利が良い場所に預ける方が良い場合もある為です。
教育資金は明日明後日直ぐに使用するわけないので預金も高額になっていきます。なのでメリット(長所)となるベストな貯蓄の方法をとるのがいいでしょう。
「学資保険」には学ぶという単語が入っているので、「加入した方がいいのかな……」と思い込みになりがちですが、冒頭に記述した通り強制ではないので、現在の貯金スタイルで何ら問題がなければ加入する必要はないとも考えることが出来ます。
2-3. 学費が掛かる各学校の費用を手出しする余裕がある
子供の為の学費を既に準備出来ていたり、お金を上手に貯めていけている人が、学資保険に加入されていないことは、上記にご説明しましたが、では一体どれくらい貯金をしていれば保険に入る必要がないのかを、学校を段階別に見てみましょう。
まず、ザックリとした金額をまとめて言えば、お子様が幼稚園(3歳)に入園してから大学を卒業するまでの19年間に学費の合計は、
【幼稚園から大学を卒業まで、全て私立の方に通園、通学した場合】だと、約2,450万円前後
【幼稚園から大学卒業まで、全て国立の方に通園、通学した場合】だと、約1,000万円前後
という感じになります。
学費が一番高くついてしまうのが、全ての学校を私立に進むことです。その合計額は2,000万を優位に超えており、大変高額なのが見てとれます。
その上、これはあくまでも学費のみを合計した金額ですので、受験料や下宿する際などの下宿代は踏まえていません。これだけの額を支出する場合は、子供が生まれる前から着実に用意をしておかなければなりません。
学校を「全て私立を選んだ場合」は「全て国立を選んだ場合」と比べてみると、支出額は約2.3倍に膨れ上がっていることが分かります。
なので、全て幼稚園から大学までを全て国公立に進学することが出来れば、予算は大幅に抑えることが可能になるのです。その場合でも、学費の合計は1,000万円を超過しているので、比較して安いと言っても高いことには変わりはありませんが。
では、次に各学校で掛かる学費の支出を見ていきましょう。
①幼稚園で掛かる学費
通常3歳になった春に小学校を入学する前まで入園が出来ます。
・幼稚園の学費総額
区分 | 幼稚園 | |
公立 | 私立 | |
学習費総額 | 230,100円 | 487,427円 |
学校教育費 | 131,624円 | 340,464円 |
学校給食費 | 17,920円 | 26,891円 |
学校外活動費用 | 80,556円 | 120,072円 |
公立と私立では金額に大きな差があり、お住いの自治体によっては助成金がおりる場合もあるので、市町村に確認してみるのもいいでしょう。また幼稚園の園児くらいになると、そろばんやピアノ、スイミングといった習い事を始める子供たちが増えていきます。
子供の将来のためを思って未来投資したくなる気持ちは分かりますが、教育資金が満足に貯められていないと、子供に習い事を通わせてあげられなかったり、家計が苦しくなってしまうので、事前にしっかりと貯蓄しておくのが良いでしょう。
②小学校で掛かる学費
次は小学校入学から中学校に卒業するまでの期間です。
公立と私立で学費が大幅に変わってきます。
区分 | 小学校 | |
公立 | 私立 | |
学習費総額 | 305,807円 | 1,422,357円 |
学校教育費 | 55,197円 | 822,467円 |
学校給食費 | 42,035円 | 40,229円 |
学校外活動費用 | 208,575円 | 559,661円 |
公立の小学校は、小学校、中学校、高校の中で一番お金が掛からない(安い)時期になります。しかし、私立の小学校は公立よりも学費の総額は約5倍の支出が掛かってしまいます。
また、この時期子供を塾に通わせるご家庭の方はまだ少ないと思いますが、塾に通うとなると交通費教材費、月の月謝など続けていけば相当の金額になってしまいます。
私立の中学校に子供を進学させようと考えているご家庭の方は、学費だけでなく塾といったサブスクールの計画や準備を事前にしていた方が賢明でしょう。
③中学校で掛かる学費
小学校を卒業したら、次は中学校に進学します。公立の中学校は私立よりも学費を三分の一に抑えることが出来ます。
区分 | 中学校 | |
公立 | 私立 | |
学習費総額 | 450,340円 | 1,295,156円 |
学校教育費 | 131,534円 | 997,526円 |
学校給食費 | 36,114円 | 3,380円 |
学校外活動費用 | 282,692円 | 294,250円 |
子供が中学生になると、学校の区分に関係なく、高校受験の為に塾や家庭教師、通信教育といったことを始められるご家庭が多くなります。
私立よりも学費が大幅に低い公立の中学校の生徒は塾通いが6割を越えている統計があります。公立なのでお金に余裕があるご家庭でも塾などの費用もしっかり計算しておいた方がいいでしょう。