子どもの学費を最大限用意する!押さえておきたい全知識

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学資保険とは

異常な低金利が続いています。マイナス金利という、予想もしなかったことまで起きています。このような状況の下、限られたお金を限られた条件の中でいかに最大化するのか、という問題に対する関心はますます大きくなるものと思われます。

 

そこで、学資を最大化するためにはどのような知識が必要か、というのが、今回のテーマです。

 

一体、大学卒業までには、いくらぐらいの教育費がかかるのでしょうか?ご家庭で支出されている教育費の割合はいくらぐらいでしょうか?直近の資料から、数字を算出してみました。

それらの数字をもとに、資金計画の立て方の目安となるものを考えてみました。あくまでも目安ですが、皆様が計画を立てるときのご参考になればと思います。

 

現状では資産の運用(学資保険の加入や国債の購入)のみで学費を準備するのは難しい状況ですが、逆に奨学金や国のローンなどは低金利で利用しやすい状況となっています。

 

また「教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」など、新しい制度の利用も始まっています。但し、利用の仕方によっては、重い負担を強いられることにもなりかねません。そこで利用の際の留意点などにも触れていきたいと思います。

 

 

1 大学卒業までどれくらいの学費が必要?

学資保険が良いのか、低解約返戻金型終身保険のほうが有利かを考える前に、根本的なことから考えてみましょう。

 

いわゆる「お受験」で小学校から私立に行かせるのか、それとも大学まで国公立に通わせるのかによって、必要になる資金がどれくらいなのか。まずそれを把握しておくことが重要です。

 

1-1 平成26年度、国および日本政策金融公庫の調査をもとに金額を算出

保険会社のホームページなどには、必要な学費の総額が載っています。それによると大まかに

 

全て国公立に通った場合約1000万円

全て私立(大学は理系)に通った場合約2500万円

 

という数字が載っています。皆様も一度くらいは目を通されたことがあるのではないでしょうか。

 

現在文科省から平成26年度の数字が発表されていますので、この数字をもとに金額を算出していきましょう。

文部科学省H26年度子供の学習費調査」の結果について

 

まず、幼稚園から高校までにかかる費用について。

 

大学卒業までどれくらいの学資が必要?

 

1-1-1 幼稚園(単位円)1年分の学費

H26年度 公立 私立 備 考
学校教育費 119,175 319,619
学校給食費 19,382 36,836
学校外活動費 83,707 141,553 家庭学習用の図書購入費・学習塾費・習い事等の費用
222,264 498,008

 

平均的な金額(1年分)の数字が表示されています。地域的には自治体の補助金などがある場合もありますので、ご確認ください。

 

なお、保育園に預ける場合には、親御さんの収入によって金額が全く違ってくることがあります。公立でも月に5万円以上の保育料になる場合もありますので、これもお住まいの自治体にご確認ください。

 

1-1-2 小学校(単位円)1年分の学費

H26年度 公立 私立 備 考
学校教育費 59,228 885,639
学校給食費 43,176 46,089
学校外活動費 219,304 604,061 家庭学習用の図書購入費・学習塾費・習い事等の費用
321,708 1,535,789

 

意外なことに、中学や高等学校よりも、公立と私立の金額差が大きいのが小学校時代です。しかも6年間ありますので、総額も大きなものなります。

 

1-1-3 中学校(単位円)1年分の学費

H26年度 公立 私立 備 考
学校教育費 128,964 1,022,397
学校給食費 38,422 4,154
学校外活動費 314,455 312,072 家庭学習用の図書購入費・学習塾費・習い事等の費用
481,841 1,338,623

 

思ったよりは金額差が小さいなと思いますが、私立中学には給食がないところが多いのですね。金額的な負担は減りますが、毎日のお弁当作りは結構大変。

 

コンビニでお弁当などを買えば、給食費以上のお金がかかりそうです。

 

1-1-4 高等学校(単位円)1年分の学費

H26年度 公立 私立 備 考
学校教育費 242,692 740,144
学校給食費 0 0
学校外活動費 167,287 255,151 家庭学習用の図書購入費・学習塾費・習い事等の費用
409,979 995,295

 

高等学校は、2010年度より「高校授業料無償化」が導入されました。学校教育費の中の授業料の部分が減少していることで、学費の軽減が図られています。

 

次に大学関連の費用ですが、これについては株式会社日本政策金融公庫が平成27年2月20日に発表した「教育費負担の実態調査結果」(平成26年度)の数字を参照します。

「教育費負担の実態調査結果」(平成26年度)

 

大学入学費用

 

1-1-5 大学入学費用

H26年度 国公立 私立文系 私立理系 備 考
受験費用 318,000 338,000 333,000
学校納付金 396,000 657,000 705,000
その他費用 117,000 48,000 61,000 入学しなかった学校への納付金
入学費用計 832,000 1,043,000 1,099,000

 

いよいよ大学受験です。受験料や入学金もこれまでとは格段に違います。

 

意外にかかるのが、「入学しなかった学校への納付金」、いわゆる「滑り止め」に払ったお金ですね。

 

以前は全期授業料相当額まで納付させられていた時期もありましたが、過去に裁判になって以来、返金されないのは入学金のみとなっているケースが多いようです。

 

それでも負担は大きいですよね。でも受験は水物、一発勝負は勇気が要りますから、

 

またこの数字には、「自宅外で通学する場合に必要な費用」は入っていません。これについては平均で450,000程度の金額がかかると資料には載っていました。

 

1-1-6 大学在学費用(1年あたり)

H26年度 国公立 私立文系 私立理系 備 考
学校教育費 976,000 1,393,000 1,603,000 授業料、通学費、教科書代など含む
家庭教育費 94,000 77,000 91,000 塾の月謝、おけいこごとの費用など
1,070,000 1,470,000 1,694,000

 

家庭教育費については、老眼気味の目を皿のようにして資料を読みましたが、何の費用か良くわかりません。

 

大学まで行ったら塾は必要ないだろうと思うのですが。しかも私立文系だけこの部分の金額が少ないというのは何故なんでしょうね。(このレポートの主旨ではありませんので、軽く流します。)

 

この数字にも、「自宅外通学にかかる費用」は入っていません。資料によると、親からの仕送り額は平均で年1,403,000円だそうです。

 

●2つの調査結果を合算して総額を計算します。

全て(国)公立 全て私立+文系 全て私立+理系
幼稚園×3年 666,792 1,494,024 同左
小学校×6年 1,930,248 9,214,734 同左
中学校×3年 1,445,523 4,015,869 同左
高等学校×3年 1,229,937 2,985,885 同左
大学入学費用 832,000 1,043,000 同左
(自宅外通学準備費用) (450,000) (450,000) (同左)
大学在学費用×4年 4,280,000 5,880,000 6,776,000
(自宅外通学仕送り×4) (5,612,000) (5,612,000) (5,612,000)
10,384,500 24,633,512 25,529,512
(自宅外通学分加算) (16,446,500) (30,695,512) (31,591,512)

 

総額にすると、全て国公立・自宅生の場合でも学費は結構な金額になることがわかりますね。

 

「私立理系、自宅外」の場合はまさに3倍です。子育てというのはとても大変なことなんだと改めて実感しました。(なお、私の実体験から、芸術系はさらに上乗せされると思って間違いありません。)

 

※なお、この数字は全て現在の水準で算出した平均値だということに注意してください。現在0歳のお子さんをお持ちの方は、幼稚園入園は3~4年先、小学校入学は6年先の話になります。それまでに金額が上昇する可能性も十分にあります。あくまでも目安としての金額だ、ということを重ねて強調しておきます。

 

また、どこかで書いた記憶がありますが、国公立大学の授業料を私立大学並みに引き上げるという動きもあるので、その場合には、全く違う状況になる可能性もあります。あくまでも参考値としてお考え下さい。

 

1-1-7 各セクションで必要な学費のまとめ

①すべて国公立に進学した自宅生と、すべて私立理系に進学した自宅外生場合では、学費の差は3倍近くになる。

 

②現在の水準(平成26年度時点)では国公立自宅生は約1038万円、私立自宅外生3159万円という金額が算出されているが、あくまでも現時点で支払えばという数字で、実際支払う時にはもっと大きな金額になる可能性がある。

 

③制度が変更されると、金額が全く変わってくる可能性がある。

 

各セクションで必要な学資のまとめ

 

1-2 学費を「いつ」「どれだけ」「どのようにして」調達する?

 

大学卒業までにかかるお金の総額は(1)で大体の目安を把握していただけたことと思います。そこで次は資金的に子供にどのコースを歩ませることが可能かを考えましょう。

 

これも、前述「教育費負担の実態調査結果」(平成26年度)の数字を参考にしています。

 

1-2-1 世帯年収に占める在学費用の割合について

世帯年収に占める在学費用の割合
10%未満 29.1
10%以上20%未満 30.2
20%以上30%未満 19.8
30%以上40%未満 9.1
40%以上 11.8
平均 17.4

 

世帯年収に占める在学費用の割合=子供全員にかかる在学費用の累計÷世帯年収の累計×100

 

表の上部に位置するほど家計に余裕があることを示します。日本の平均的な家庭は年収の2割弱が子供の学費に充てられていることがわかります。

 

1-2-2「大学在籍者の子供の在学先別世帯年収構成比」から読み取れるもの

 

「教育費負担の実態調査結果」(平成26年度)の資料の中に、「在籍者の子供の在学先別世帯年収構成比」という資料があります。簡単に言うと、在籍している学生の親の年収の平均額を算出したものです。

 

少し興味ぶかい結果が出ているので、説明を加えておきます。

 

●在籍者の子供の在学先別世帯年収構成比

(単位万円) ~200 ~400 ~600 ~800 800~ 平均年収
国公立高校 4.9% 9.7% 23.2% 27.0% 35.2% 711.0
私立高校 6.0% 5.3% 15.0% 22.9% 50.8% 839.9
国公立大学 1.9% 7.9% 12.8% 24.0% 53.5% 880.9
私立大学 1.5% 6.5% 15.2% 22.6% 54.2% 877.6

 

国公立、私立大学に在籍している学生の平均年収は800万円後半となっています。また世帯比率でも800万円以上が50%を超えています。

 

興味深いのは、国公立大学の親世帯のほうがわずかですが年収が上回っている点です。私の感覚では、国公立は学費が安いので、比較的所得が低い世帯が多いのかと思いましたが、実際には私立大とそれほど変わらない状況になっていました。

 

所得格差が学歴格差につながるという現実が数字にも表れているようです。

 

1-2-3 年収から、どれだけの支出が可能かを検討する

①、②から大学在籍者の家庭の平均年収は800万以上、所得に占める在籍費用は17.4%という数字が得られました。国公立の平均年収880万円の場合で試算すると

 

880万円×17.4%×19年(3歳から22歳まで)=2909万円

 

となり、全て国公立であれば、子供二人は進学させることが数字上は可能ということになります。

 

(実際には住宅ローンの返済がある場合もあるので、17.4%→10.0%程度しか支出できない場内などもあるでしょう。個々のご家庭の事情に合わせてご検討頂くということになるでしょうが。)

 

1-2-4 年収だけで、すべての学費が調達できない場合

年収が800万以下のご家庭の場合でも、お子さんが進学したいという意思を持っていたら、何とかしてやりたいと思うのが親心でしょう。

 

実際には、年収200~400万未満の家庭から大学進学しているケースもあります。その場合には教育費の負担が40%にも達していて、教育費の負担が非常に重いことがわかります。

 

粗々な計算ですが、次のように試算してみました。

 

例)年収600万円で、お子さんはすべて私立に進学する場合。

600万円×17.4%×19年=1983万円

私立自宅生の必要資金2463万円

差額1983―2463=-480万円

 

・次に、上記レポート(1)①~⑥を参照にして、学費がいつご必要になるのかを予想しておきましょう。

 

そして資金が不足するのはどの時点かをある程度予測し対策を立てておくのです。(たとえば「全て私立」の場合には、小学校での負担が非常に大きくなるので、その間の手当てをどうするかを考えなければなりません。)

 

次にそれぞれの資金需要の時期と内容に応じて、①学資保険など貯蓄性の保険によって積立ておく、②奨学金を利用する、③教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度を利用する、④教育ローンなどの利用を検討しておく、などが考えられます。

 

これらについては次の項で詳しく述べたいと思います。

 

なお上でも書いた通り、上の数字はあくまでも現状をもとに建てられた予測にすぎません。あくまでも目安のひとつと考えてください。

 

1-2-5 学費を「いつ」「どれだけ」「どのようにして」調達する?まとめ

①世帯年収に占める学費の平均的な割合は17.4%である。

 

②国公立・私立大学に在籍する学生の親世帯の平均年収の半数以上は800万円以上。

 

③この結果から、自分の所得でどれだけ学費がカバーできるかを予め試算して、不足分についての手当てを予め検討しておく必要がある。

 

学資を「いつ」「どれだけ」「どのようにして」調達する?

 

2 限られた学資を有効に使う方法とは?

2-1 資料から読み解く現実、どのように学資を捻出している?

「教育費負担の実態調査結果」(平成26年度)「4教育費の捻出方法-節約や預貯金などを取り崩して教育費を捻出」参照

 

・教育費の捻出方法(複数回答可なので、100%を越えます)

項目
1 特に何もしていない 31.9
2 教育費以外の支出を削っている(節約) 30.5
3 預貯金や保険などを取り崩している 28.5
4 奨学金を受けている 19.9
5 子供(在学者本人)がアルバイトをしている 16.1
6 共働きを始めた 11.4
7 残業時間やパートで働く時間を増やした 9.2
8 親類から援助してもらっている 5.9
9 「国の教育ローン」を借入れしている 3.8
10 本業以外にアルバイトなどで副収入を得ている 2.8
11 民間金融機関の教育ローンを借入れしている 2.8
12 地方自治体または勤務先から借入れをしている 0.8
13 その他 1.2

 

①第1位が「何もしていない」というのは少し驚きです。年収が800万以上で特に「捻出」する必要もないというケースと、何をしてよいのかわからない、やりようがないというケース、両方があるような気がしますが、資料からはそこまで読み解けません。

 

②第2位「節約」というのも、「何もしていない」と通じるところがあります。とっつきやすい方法言えますが、支出を抑えるだけでは捻出方法としては限界がありますし、長年にわたるとストレスが溜まると思うのですが、どうでしょうか。

 

③第3位でようやく「預貯金や保険などを取り崩している」が出てきました。取り崩せる保険があるということは、積み立てているということが前提なので、ここで「学資保険」の出番ということになります。ただ「預貯金」も含まれていることを考えると、思っていたほど学資保険利用者は多くないのかな、という感想を持ちました。

 

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